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Copyright (C) 1999
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書籍の詳細
書名:
わきまえの語用論
わきまえのごようろん
ISBN(10/13桁):
4-469-22186-4 / 978-4-469-22186-2
著者名:
井出祥子 著(いでさちこ)
定価:
2,415円(A5判・250頁)
「場」の読みができないと日本語は使えない!
内容説明:
日本文化は「高コンテクスト文化」である。日本語で的確に表現するのは、「場・コンテクスト」をいかに適切に認識するかにかかっている。言語理論のモデルは、常に西洋から来た。しかし、「わきまえ」を理論化するためには、自前の理論装置が必要である。1970年代に始まる自身の研究軌跡を集大成した井出教授の力作論考。
主要目次:
序 章 日本語はいかに日本文化と関わるか
グローバル化時代の日本語と日本文化
日本語の「なぜ」
文法は民族文化
日本語は「あいまい」か
日本語を包む枠組み
第1章 「言うという行為」とモダリティ
1.1 「言うという行為」という単位
1.2 「言うという行為」の構造
1.2.1 命題のレベル
1.2.2 メタ・コミュニケーションのレベル
1.2.3 メタ・プラグマティックのレベル
1.3 「言うという行為」と話し手の視点
1.3.1 命題をくるむモダリティとコンテクスト
1.3.2 モダリティ――命題とコンテクストを結ぶもの
1.4 発話のための判断――発話とコンテクストを結ぶもの
1.5 モダリティ再考
1.5.1 英語のモダリティとの異なり
1.5.2 日本語の「言うという行為」のモダリティ
1.6 プラグマティック・モダリティ
1.6.1 命題に関するモダリティ
1.6.2 場面に関するモダリティ
1.6.2.1 人間関係
1.6.2.2 状況
1.6.3 談話レベルのモダリティ
1.6.3.1 言い換え
1.6.3.2 何を言うか何を言わないか
1.7 なぜ日本語のモダリティは豊かなのか
1.8 「言うという行為」の制約はどこからくるのか
第2章 ポライトネスの普遍理論
2.1 ポライトネス理論のはじまり
2.1.1 生成意味論の発展途上で
2.1.2 ブラウン&レビンソンの挑戦
2.1.3 非西欧からの反駁
2.1.4 より普遍性のある理論へ
2.1.5 ヨーロッパのポライトネス研究
2.2 ポライトネスの概念について
2.2.1 ポライトネスの普遍性
2.2.2 ‘polite’と「丁寧さ」を比べる実証研究
2.2.3 日米の対人認識の根源的異なり
第3章 わきまえのポライトネス
3.1 敬語はなくても良いものか
3.2 日本人とアメリカ人の敬語行動の研究から
3.3 越中五箇山郷の調査から
3.4 わきまえのスーパー・システム
3.5 わきまえの源
3.6 わきまえの諸相
3.7 ミクロとマクロのわきまえ
第4章 敬語のダイナミックな動き
4.1 グローバル社会での敬語の存在意義
4.2 コンテクストで解釈される意味
4.3 儀礼形式としての敬語・敬意表現
4.4 儀礼としての敬語とポライトネス
4.5 敬語はどのようにして品位を表わすのか
第5章 敬意表現と円滑なコミュニケーション
5.1 21世紀の日本社会のことばの在り方
5.2 「敬意表現」誕生の経緯
5.3 敬意表現の骨子
5.4 敬意表現と国際化
5.5 敬意表現のどこが日本文化を維持しているのか
5.6 敬意表現と共生のグローバル社会
第6章 女性語はなぜ丁寧か
6.1 女性語研究と女性の地位の向上
6.2 欧米と異なる日本の女性語
6.3 なぜ女性はより丁寧なことばを使うのか
6.4 位相語としての女性語
6.5 アイデンティティ指標としての女性語
第7章 ホロン構造型社会の言語使用
7.1 雄弁な説得は美徳か
7.2 感じの良いイチローと古田の言葉遣い
7.3 わきまえと日本型社会システム
7.4 わきまえの行動原理を求めて
7.5 ホロンとは何か
7.6 ホロン型社会のインフラとしての日本語の二層構造
7.7 ホロン的振る舞いと敬語
7.8 ホロンシステムの中の「よろしくお願いします」
7.9 要素還元主義を超えて
第8章 〈複雑系〉社会の日本語
8.1 21世紀型知識社会と日本語
8.2 「伊豆の踊子」にみる日英語比較
8.3 談話にみる日本語
8.4 森林の思考・砂漠の思考
8.5 異なるわけを求めて
8.6 複雑系社会の中の言葉遣い
参考文献(日本語)
References(English)
あとがき
索引
本書は、ことばの解明を通じてそのことばを話す人々の文化を理解し、異なる文化の人々が分かり合えるインフラとしたいというスタンスで、言語現象に向き合った論考である。具体的には、日本語を英語と比較することにより、日本語がいかに日本文化と関わっているかを考察した。西欧語を基にした言語理論・語用論理論に日本語を当てはめてみると、当てはまらないところが出てくる。その原因はどこにあるのだろうか、と探るうちに、日本語を成り立たせている日本人の思考習慣としての文化が見えてくる。断っておきたいことは、日本語と日本文化の関わりを探るが、これは決して日本文化論ではないということである。既存の西欧モデルからこぼれ落ちる要素こそ西欧モデルの死角ともいえるものである。それを拾い上げ、光をあてることで、これまでの言語・語用論理論のモデルとしてきた枠組みを広げ、多様性を包括したより豊かな普遍モデルを作り上げていくことが出来る。例えば、西欧モデルに対して相補的に提示されたわきまえの語用論の枠組みは日本語研究から生まれたものであるが、それは、宗教的規律が日常の生活のなかで生きているイスラム社会の言語使用に有効な枠組みである可能性がある。日本語を非西欧語の一つとして捉え、母語話者としての直感や日常生活で常識とする考えに素直に向き合った観察、分析、考察から生まれるものを世界に発信する。そうすることが、他の非西欧社会の研究者に示唆を与えることになるのではないか。ヒトという種が持ちうる脳のキャパシティを考えれば、人間にあり得る多様性には自ずと限界があり、文化の数だけ多様性があることにはならない、と考えるからである。それゆえ、豊かな普遍を求めることは可能であり、グローバルな視点からみて意義のあることと言えよう。(「あとがき」より)
この本の
キーワード:
モダリティ、位相語、敬語、コンテクスト、ポライトネス、ホロン、生成意味論、アイデンティティ、要素還元主義、メタ・コミュニケーション、メタ・プラグマティック
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