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書籍の詳細
書名:
「偶然」から読み解く日本文化
ぐうぜんからよみとくにほんぶんか
日本の論理・西洋の論理
ISBN(10/13桁):
978-4-469-21327-0
著者名:
野内良三 著(のうちりょうぞう)
定価:
1,890円(四六判・296頁)
「偶然」を手がかりに文化の相違の根底に迫る
内容説明:
二分法的に世界を峻別し、原因-結果の連鎖に基づく必然の論理ですべてを説明しようとした西欧文明が随所で行き詰まる現在、八百よろずの神を認め曖昧さや偶然にも対応する日本的なしなやかな論理が、次代を切り拓く力を秘めたものとして注目されている。偶然と必然をキーワードに日本文化の可能性を探るユニークな比較文化論。
主要目次:
序
第1章 必然と偶然
なぜ偶然か/西洋哲学と必然性/アリストテレスの偶然論/アリストテレス的伝統/必然性から確実性へ/アリストテレスの四原因論/デカルトの「懐疑」/デカルトの自然観/ヒュームの「懐疑」/因果性を考え直す/因果性と時間/必然性と偶然性の本質/科学と因果的必然性/ポアンカレの偶然論/バタフライ効果/カオス理論と人生/九鬼偶然論を導きの糸にして/偶然と驚きの情/偶然と縁/偶然と事後的意味付与/偶然の主観性
第2章 因果と縁起
二つの因果連関/西洋哲学史の三つの指標――世界・神・人間/因果律と縁起観/縁起のロゴス/縁起と無我/ナーガールジュナの言語思想/言語不信対ロゴス主義/論理性と矛盾律/マクロの視点とミクロの視点/縁起観の見直し/「容」偶然主義とは/ロゴスとレンマ/テトラレンマとは/レンマの情理/即非の論理/偶然と必然のダイナミックス
第3章 日本的無常と『徒然草』
西洋哲学と東洋思想/無常と偶然を分かつもの/日本的無常観/「もののあわれ」から「浮世」へ/「いろは歌」の無常観/あっけなさ、あるいは瞬間の美学/はかなさ、あるいは滅びの美学/「この世」を見る三つのスタンス/ありてなければ/『徒然草』偶感/兼好とは何者か/無常を見すえて/出家遁世と仏道修行/無常だからこそ趣がある/『徒然草』一三七段を読む(その一)――花はさかりに、月はくまなきをのみ見るものかは/『徒然草』一三七段を読む(その二)――万の事も、始め終わりこそをかしけれ/『徒然草』一三七段を読む(その三)――すべて、月・花をば、さのみ目にて見るものかは/〈この世〉を直視せよ、さらば〈美〉を見いださん/転換期を生きたダンディスト
第4章 福沢諭吉の人生哲学――近代主義と伝統
はじめに/人間=蛆虫論とは/「安心法」は人生哲学である/「安心法」をめぐる四つの評価/「安心法」と体用論/「こころ」の東西比較論/福沢の欧化主義のしたたかさ/福沢における「日本的なもの」/「安心法」とレンマの論理/福沢のカオス理論/マクロの視点/ミクロの視点/肉食の思想/人間中心主義のバリエーション/福沢の歴史観/「みずから」の選択から「おのずから」の選択へ
第5章 日本語の論理と構造
はじめに/「ウナギ文論争」/日本語はコンテクスト依存的言語である/直列型と並列型/言語に優劣はない/時枝誠記の言語過程説/「零記号」の役割/日本語の論理/語順の問題/主格のハとガ/ハの包摂作用/ハは変化する/ハは日本語にしかないか/ハと「切れ」/日欧比較統辞論/結び
第6章 異文化受容と伝統――カラゴコロ今昔
日本の特殊性/物として見、物として行う/異文化受容と「容」偶然主義/ヨーロッパ文化は恐ろしい/遣隋使・遣唐使の意味/文字を通じての文化受容/訓読と漢意/カラゴコロが日本を救った/訓読から漢字仮名混用法へ/和魂漢才から和魂洋才へ/和魂洋才の現在/日本語は本当に滅びるか/文化的「雑居」から「雑種」へ
主要参考文献
あとがき
1章は西洋哲学において偶然性がどのような形で問題にされてきたのかを考えながら、偶然性の本質を剔出する。2章は偶然を排除する西洋的因果律と偶然を許容する仏教的縁起観を比較考量する。この作業を通じて因果連関に対する東西のスタンスの違いを確認し、あわせて「容」偶然主義を提案する。3章は吉田兼好と無常の問題を『徒然草』のテクストの綿密な読解を通じて掘りさげる。4章は文明開化のオピニオンリーダー、福沢諭吉の意外な側面に光を当て、その人生哲学に日本的なものが底流していることを見とどける。5章は、時枝誠記と三上章の仕事を参照しながら、日本語の構造と論理を追求する。日本語を「外国語」として捉え返すことによってその述語中心主義を取り出し、その表現の可能性を問う。6章は1章から5章までの考察を踏まえて、異文化受容の歴史を振り返りながら日本文化の本質と、それが提起する問題を討究する。そして、日本文化の将来にとって「容」偶然主義が必要であるゆえんを論定する。
(『序』より抜粋)
この本の
キーワード:
比較文化論、二分法、西洋哲学、東洋思想、アリストテレス、ロゴス、徒然草、福沢諭吉、仏教論理、必然性、偶然性
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